脳梗塞が起こると、わずか数分後には脳細胞が壊死し始め、時間がたつほど脳の受けるダメージは大きくなります。ダメージが大きくなれば、後遺症も 大きくなりますし、命を落とすことにもなりかねません。そこで、脳梗塞が起きた場合には、少しでも早く専門の医療機関で治療を受けることが大切です。
アメリカでは、脳梗塞の発症後3時間以内に、検査、診断、治療を迅速に行うよう、指針が示されています。これにより、症状が劇的に回復する場合があります。
しかし、日本では、多くの患者さんが、発症してから3時間以内に医療機関を受診していないのが現状です。もっとも、発症後6時間以内であれば、 3時間以内の場合とほぼ同じな内容の治療を行う事ができます。ところが、発症後6時間以内に受診する患者の数をみても、まだ医療機関に到着できない患者が多いのです。 現実には、12時間以上たってから受診する患者が少なくなく、それが、大きな問題になっています。
受診が遅れる最大の原因は、患者や周囲の人が脳梗塞の発症に気付かない点にあります。はっきりとした麻痺が起これば誰でも急いで受診しますが、脳梗塞では、 麻痺があっても軽い場合や、麻痺がない場合もあるので、見落とされることが多いのです。
脳梗塞では、手足の脱力や足のもつれ以外に「手足のしびれ、視力障害、食べ物や飲み物が飲み込めない、言葉が出ない、話せない」などの症状の いずれかが現れてきます。しかし、これらの症状が現れていても、脳梗塞だと思わない人が多いようです。特に飲酒時に起きたときには、アルコールに酔っている ためだど思われがちです。
また、脳出血やくも膜下出血では強い頭痛が起こりますが、脳梗塞では痛みがありません。これも、受診が遅れる大きな原因になっています。痛みもなく、 麻痺などの典型的な症状もないうえに、発症したのが夜間や休日だと、翌日まで様子をみようと考えがちです。しかし、翌日になれば、症状はかなりひどく なってしまします。このようにして、発症から12時間以上が経過し、症状が悪化してから受診するケースがよくあるのです。