脳梗塞では、梗塞の内容によりいろいろな後遺症が現れますが、入院した患者の多くが、歩けるようになって退院しています。脳梗塞を起こした人の約7割が、 日常生活でも元通りに自立できるようになる、といわれています。ただし、そのためには、適切なリハビリテーションが行われなければなりません。
リハビリテーションというと、病状が落ち着いてから行う機能回復訓練のみを思い浮かべがちです。しかし、リハビリテーションはもっと幅広い内容を含み、 入院直後から行われる必要があります。入院直後は安静が必要ですが、安静ばかりを重視して体を全く動かさないと、筋力が低下したり、関節が固まったりして、 病状が安定した後に自立した生活を行うことが困難になります。床ずれや肺炎などの合併症を招くおそれもあります。
こうしたことを防ぐためにも、リハビリテーションは入院直後から始め、「急性期」「回復期」「維持期」といった時期に応じて、適切な内容で 行われることが大切です。
急性期のリハビリテーション
急性期とは、病状が不安定な時期で、発症直後から2~4週間まで、長くても1ヶ月くらいまでの時期を指します。この時期には次のようのリハビリテーションを行います。
正しい姿勢を保つ(良肢位保持)・・・・・関節が異常な形で固まったり、手足にむくみが起きたりするのを防ぐため、 枕やタオルを使って、正しい姿勢が保てるようにします。
姿勢を変える(体位変換)・・・・・約2時間おきに寝返りを打たせます。姿勢を変えないでいると、床ずれが起きたり、 唾液や血液がたまって、肺炎が起きやすくなったりします。
関節を動かす(関節可動域訓練)・・・・・関節が固まって動かなくなるのを防ぐために、関節を動かす訓練を行います。 まひが起きている側は、人に手伝ってもらって関節を動かします。まひが起きていない側は、患者の意識があれば、患者自身の力で動かし、筋力の低下を防ぎます。 安静にしていると、一般に1日に3%の割合で筋力が低下します。
以上の3つは、患者の意識の有無に関わらず行います。
座る(座位耐性訓練)・・・・・寝ている状態から座る姿勢をとるための訓練です。病状に応じて、なるべく早く始めます。
回復期のリハビリテーション
回復期とは、病状が落ち着いてきた時期で、発症後3~4ヶ月、長くても6ヶ月くらいまでを指します。後遺症の内容に応じ、専門のスタッフの指導を 受けて機能の回復を図るのが、この時期のリハビリテーションです。自力で座る訓練、ベッドで寝返りを打ったり起き上がったりする訓練を行ってから、 起立訓練、歩行訓練、日常動作の訓練と進みます。
まずは、自力で移動することを目標にします。寝たきりにならないためにも、これはとても大切なことです。さらに「服を着る、料理を作る」など、 日常生活に必要な動作が行えれば、自宅での生活が可能になります。
維持期のリハビリテーション
維持期とは、機能回復がこれ以上望めなくなった後の時期で、一般的に、発症後6ヶ月を過ぎたら維持期になります。
回復した機能を維持するためのリハビリテーションを自宅で行います。退院後、すぐに始められるように、事前に、自宅の環境を整備しておくことも大切です。
維持期のリハビリテーションには、家族の強力が必要です。また、公共サービスもあるので、上手に利用しましょう。